コーヒーはいつ誕生した?コーヒーの様々な歴史
コーヒーは、今や世界中で親しまれている最もポピュラーな飲み物です。しかし、いつの時代からコーヒーを飲むようになったのでしょうか?コーヒーの誕生や広がった歴史についてまとめてみました。
コーヒー発見の歴史
コーヒー発見の歴史には、有名な伝説が2つあります。コーヒー好きの方は、豆知識として覚えておくとコーヒー通として話題を広げることができますよ。
ハジ・オマールの伝説
『イエメンの港町(モカ)には、ハジ・オマールという修道僧がいました。オマールに反感を持つ者たちが、モカから追放をして砂漠に追いやりました。砂漠をさまよい、水しか持ち合わせていなかったオマールは、低木に実る植物の果実を見つけました。しかし、苦くて食べることができず、火にあぶってみたものの固くて食べれず、水に浸して果実を柔らかくしようと試みると、水が茶色になるだけで果実は固いままでした。
そこで、果実から出た栄養分だけでも吸収しようと、その水を飲んでみると気分が爽やかになりました。その後、オマールがモカに戻ると人々は生きている事に驚き、その源となった飲み物の存在を人々が知ることになりました。』
現在でも、イエメン・モカはコーヒー豆として有名ですよね。中東には、トルココーヒーと呼ばれる独自の抽出方法も広がっていますので、コーヒー発見の伝説には信ぴょう性があります。
カルディの伝説
『アルビシニア(現在のエチオピア)には、カルディというヤギ飼いがいました。ある日、カルディは自分が世話をしているヤギが、牧草地に生えていた低木の果実を食べると元気になる事に気づき、その果実の効能を自ら試してみることにしました。
火であぶってから煮立てて飲んでみると、驚くほど気分が良くなり、噂を聞いた修行僧が夜の儀式に居眠りをする仲間に飲ませることにしました。すると、修行僧たちは居眠りをすることなく、祈祷に励むことができるようになり、その飲み物は王国全土へと噂が広がっていきました。』
コーヒー豆などの販売で有名なカルディコーヒーの社名は、このカルディの伝説が由来になっており、お店の紙袋にはヤギのイラストが描かれています。由来を知っていると新たな発見にも出会えるので楽しいですよね。また、この2つの伝説はアラビカ種のコーヒー発見に関するものですが、ロブスタ種の発見では他にもアフリカなどで伝説がいくつか残っています。
コーヒーの栽培と発祥の歴史
アラビカ種のコーヒーの樹木は、アフリカのエチオピアが原産とされています。古代アビシニア時代、エチオピアでは金が産出して栄えました。6世紀には、イエメンを支配下に置いており、イエメン経由で各地に栽培が広がったと考えられています。
コーヒーの飲用を広めたのは、アラビア人が大きく関わっており、15~16世紀にかけてイエメンでコーヒーの栽培が進みました。1600年代にイスラム今日の巡礼者ババ・ブータンが、インドのマイソール山岳地帯に種子を撒いたことが伝えられています。
1616年にオランダ人商人が、イエメンの港町から1本の樹木をオランダに運び、1658年にはスリランカでコーヒーの栽培が始まりました。その後、インドネシアのジャワ島、フランス、アメリカなどへと広がり、コーヒーの栽培で有名なブラジルでは1727年にフランス領ギアナから持ち込まれた苗木によって、栽培が始まったとされています。
コーヒー発祥の地
アラビカ種のコーヒー樹木の原産がエチオピアである事から、エチオピアはコーヒー発祥の地とされています。エチオピアには、「カリオモン」という伝統的なコーヒーの飲み方があり、カリ(コーヒーの葉)、オモン(一緒に)という意味から、エチオピアではコーヒーは1人ではなく、仲間と一緒に飲むものとされています。
冠婚葬祭やお客様を迎える時には、コーヒーを炒るところから始めてコーヒーをもてなします。エチオピアでは、女性が身につけるべき作法の1つとなっており、客側は3杯飲むのが正式とされています。そのため、もしもエチオピアに行き、コーヒーを振る舞われた際には、もてなしを受けているという事になりますので、ゆっくりとコーヒーを味わいましょう。
コーヒーを飲料として楽しむようになった歴史
コーヒーを飲料として楽しむようになった当初は、コーヒーの果実を発行させてワインのようにして飲んでいました。その後、乾燥をさせて果実を煮出し、薬用として使用されるなどの経路を経て、嗜好品として定着するようになっていきました。
1300年頃は、イスラムの修道士の間で煎じ薬として使用され、1554年にはトルコの都市に伝わり、世界で最初の本格的なコーヒーハウスが出来ました。1615年にイタリアのベネチアへとコーヒーが伝わるものの、キリスト教徒たちの間ではイスラム教の飲み物であった事から、”悪魔の飲み物”とされていました。しかし、コーヒーを飲んだクレメンス8世教皇は、あまりの美味しさにコーヒーをキリスト教徒の飲み物にしてしまうという逸話が残っています。
その後、ロンドンやパリなど、ヨーロッパ各地にコーヒーは飲料として広がっていき、1689年にパリのサンジェルマンにフレンチカフェが誕生すると、ルイ15世の時代には600以上のお店がオープンし、瞬く間にフランスにカフェ文化が根付きました。
主なコーヒーハウスの歴史
1554年:トルコのイスタンブールで世界発の本格的なコーヒーハウスが誕生
1652年:ロンドンにコーヒーハウスが誕生
1671年:フランスで最初のコーヒーハウスが誕生
1683年:ウィーンに「ブルーベイズ」がオープン
1696年:ニューヨークにコーヒーハウスが誕生
1720年:ベネチアに「カフェ・フローリアン」がオープン
1760年:ローマに「アンティコ・カフェ・グレコ」がオープン
日本でのコーヒーの歴史
日本にコーヒーが伝わったのは、江戸時代とされており、1804年に大田蜀山人が初めてコーヒーを飲んだことが記録されています。また、オランダのシーボルトは、蘭学者や医者にコーヒーは長寿をもたらす良薬と説明し、日本人にコーヒーを広めました。
1877年には、コーヒーが初めて輸入され、文明開化の象徴として特権階級に普及していきました。1888年に上野に初めて欧風カフェ「可否茶館(かひーさかん)」がオープンし、1911年には銀座にて「カフェ パウリスタ」がオープンし文化人たちに親しまれるようになります。
明治から大正に入ると一般的にもコーヒーは広がり、昭和に入ると需要が格段に増えました。長い歴史があるコーヒーですが、日本では比較的歴史は浅く、飛躍的にコーヒーの需要が高まったのです。
各国のコーヒーショップの歴史とカフェスタイル
世界的に広まっていったコーヒーは、各国でコーヒーショップが開業され、独自のカフェスタイル文化が開くようになりました。各国の特徴などをまとめてみました。
イタリアのコーヒー文化
エスプレッソが有名なイタリアでは、セルフサービスの立ち飲みスタイルである「バール」があります。上流階級の社交の場としてカフェが存在していましたが、19世紀末頃にフィレンツェの「バール・マナレージ」が出来た事により、庶民的なお店として一般的にもコーヒーが広がるようになりました。
そのため、イタリアには立ったまま気軽に入れるバールのお店が多く、飲食だけではなく、コミュニケーションの場としても浸透し、1日に何度もバールへ足を運ぶ事も珍しくありません。
また、バールは目的や販売するものによって複数の種類があり、目的に合わせてお店を選ぶことができるという特徴があります。例えば、ジェラートが楽しめる「バール・ジェラテリア」やワインなどお酒を提供する「バール・エノテカ」等があります。
フランスのコーヒー文化
フランス・パリは、カフェの発祥地です。イタリアにバールが欠かせないように、フランスではカフェが欠かせません。フランス文化の1つとも言えるほどで、セルフスタイルのバールとは違い、注文から支払いまでフルサービスで行ってくれるのがフランスのカフェスタイルです。
食事メニューも豊富にあり、サラダから肉料理まで揃っているため、カフェで食事を取ることも一般的です。また、「サロンドゥ・テ」と呼ばれるケーキ、チョコレートなどのお菓子が豊富なカフェスタイルがある事も、美食の街らしいフランスの特徴です。
アメリカのコーヒー文化
ヨーロッパからアメリカへと伝わったコーヒーですが、今やコーヒーの消費量は世界最大です。コーヒー文化が発展した背景は、シアトルを中心にコーヒーショップが発展した事が大きく関わっています。
アメリカの代表的なコーヒーショップは、シアトルスタイルと呼ばれ、エスプレッソを中心としたバラエティに富んだメニューとファーストフード店のようなスピーディーさが特徴です。テイクアウトが可能なため、イタリアのバールやフランスのカフェよりも、さらに気軽に楽しむことができる効率の良さが、アメリカらしいコーヒースタイルですね。
日本のコーヒー文化
日本のコーヒーは、カフェスタイルの喫茶店からシアトルスタイルのコーヒーショップが展開された事によって、本格的なコーヒーが手軽に飲めるという魅力が幅広い世代に支持され、急速にコーヒーの消費量が増えました。
スターバックスコーヒーを代表に、ドトール、タリーズといったチェーン店が各地に展開され、現在はバールスタイルのコーヒーショップも増え始めています。オシャレなカフェショップも増え、シーンに合わせてお店が選べるようになりました。