カフェ「銀座トリコロール」本店に行った感想


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今回は、老舗カフェ「銀座トリコロール」本店に行ってきました。銀座トリコロールで注文したコーヒーや軽食の紹介、店内の雰囲気や店員さんの接客態度、などなどについて感想を書きたいと思います。

カフェ「銀座トリコロール」本店に行った感想

カフェとは、一体何を求めて行く場所なのでしょうか。美味しいコーヒー?スイーツや軽食?最近では、スマートフィンやPCを充電する為のコンセント付きの席を備えた喫茶チェーン店が増えています。
そこでは、お客が求めるものは電気?
その答えは、人やその人がいる状況、気分によって沢山あるのだと思います。

ただ、今回銀座にあるカフェ、「銀座トリコロール」を訪れてみて、カフェという場所が私達に提供してくれる素敵なものの1つを、改めて再認識することができた気がします。

「銀座トリコロール」本店は銀座5丁目にある老舗カフェです。最寄は銀座駅、または東銀座駅になります。大通りからは少し離れていますので、周囲には低層階の建物もあるのですが、それにしても、ボーっとして歩いていたら通り過ごしてしまいそうなほど小柄な、上品ながらどこか可愛らしい2階建ての建物です。

2階の赤い煉瓦の壁からのぞいた幾つかの窓からは蔦が垂れ下がって、正面入り口の木製の回転ドアへと誘っているかのようです。回転ドアのガラス越しに店内を覗いてみると、店内からはレトロクラッシックな高級感があふれ出しています。
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それでも、私のような庶民でも敷居の高さを全く感じないのは、明るい色の木を多用した内装のおかげでしょうか?それとも、見るからに上等な客席やインテリアに、大切に長年使いこまれてきたという温かみを感じるからなのでしょうか?

この銀座トリコロールは創業からもう80年、1936年にオープンした喫茶店です。当時は一般庶民にもコーヒーが愛好される様になって、急速に喫茶店の数が増えた時代でもありましたが、創業の翌年には日中戦争がはじまり、その翌年からは輸入制限が開始されて徐々にコーヒー豆などの入手が困難になっていく、そんな難しい未来を抱えた時代でもありました。

戦時中に創業時の建物は消失してしまいました。戦後は、1947年にはもう営業を再開して、コーヒーを求める人々で行列ができたそうです。現在の店舗ではかなり時代を下り1982年から営業を行っています。それでも、もう30年を越える歴史が重ねられているわけです。

回転扉を押して中に入ると、黒いベスト姿の店員さんが丁寧に案内をしてくれました。

銀座トリコロールの回転ドア

銀座トリコロールのカウンター

銀座トリコロールのケーキディスプレイ

ケーキが並んだディスプレイ台や、カップやグラス、器具類がきれいに整えられた、木材とガラスを多用した美しい棚を備えたカウンターは1階にあるのですが、1階は喫煙席ということなので、少し残念でしたが2階席へと絨毯(じゅうたん)が敷きのべられた階段を登ります。

銀座トリコロールの階段e

階段の脇には、創業時の店舗や関係者のものでしょうか、額縁に入った古い写真や、アンティックカメラなどが飾られています。

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写真を見ても顔はわかりませんが、このお店の創業者は柴田文次氏といって、木村コーヒー店というお店の主人でした。美味しいコーヒーの普及を目指して開業したと聞いています。木村コーヒーは、その後キーコーヒーと改名しました。

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銀座トリコロールの2階

2階まで登ると、正面が洗面所、右手にはコート掛けと重厚なカウチが備え付けられています。優雅です。

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客席に目を向けると、小さめながら、ほっとため息が出そうな空間が広がっていました。
床には凝った柄の絨毯(じゅうたん)で覆われて、木と煉瓦からなる壁の一方には飾り暖炉、反対側にはアンティークな本棚が設えられています。暖炉の脇には灰や石炭を扱う道具までさりげなく飾られていて、欧州の古い邸宅にでもお邪魔したような気分になります。

銀座トリコロールの暖炉

客席の木のテーブルや椅子は、上品かつ重厚なデザインです。1階席の椅子は赤いベルベットを使っていましたが、こちらで渋い赤色に金色の柄が飾られています。
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古びて見えはしませんが、使い込まれた、味のある雰囲気を醸し出しています。隣のテーブルでは、買い物帰りらしきマダムが3名、お互いのLineのID交換に手こずっている様子です。他の席もほぼ埋まっていて、みな楽しそうに、でも騒々しくは感じない音量でおしゃべりを満喫しています。

さて、テーブルにお水を置いてくれた店員さんが、また2階に来て、さりげなく他の用事をしながら留まっていてくれますので、どうやら注文をした方が良さそうです。


銀座トリコロールのメニュー

銀座トリコロールのメニュー

メニューはかなりシンプルです。アンティーク・ブレンドコーヒー(¥880)とトアルコ・トラジャコーヒー(¥950)、カフェ・オ・レ(¥960)にウィンナー・コーヒー(¥960)。アイスコーヒー(¥960)とアイスカフェ・オ・レ(¥1060)もありますが、今日は寒いのでパスです。

紅茶やジュースもありますが、創業者に敬意を払ってこれも勿論パス。基本のアンティーク・ブレンドコーヒーでいきたいと思います。

食事は、サンドイッチ(¥950~)とケーキ(¥570~)、そして有名なエクレア(¥440~)にも魅かれます。トリコロールのちょっと小型のエクレアは、サクッとした歯触りで大人気なのです。

エクレアとアンティークブレンドコーヒーのセット(¥1,220)を注文するのが、定番中の定番、無難で外れなしです。ところが、香り薫る珈琲ゼリー(¥860)という商品が、何だか気になってしまいます。これだけ商品名にわざわざ形容詞がついていて、そしてなぜか“珈琲”と漢字できたからでしょうか。

“ネルドリップで丁寧に抽出したコーヒーの香り漂う珈琲ゼリーです”とのこと。たまらなく魅かれますが、間違いなくブレンドコーヒーと味がかぶりそうです。でも食べてみたい、そしてコーヒーも基本のブレンドを飲んでみたい。ということで、結局この2つを注文してしまいました。あわせて¥1,740です。

しばらくすると、まずコーヒーゼリー用の受け皿とスプーン、そして銀の小トレーに載った砂糖とミルクがテーブルにセットされました。

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そこからまた待ちますが、まだコーヒーは来ません。銀座トリコロールのこだわりは、注文を受けてから豆を挽いて、ネルドリップで落とすことです。

挽きたて、淹れたてのコーヒーは本当に美味しく出来上がるものだと思います。かくいう私も、父親が凝り性だった為に、子供の頃から自宅で挽きたてのコーヒー豆の香りを嗅いで、出来たてのコーヒー(但し当時はで甘いミルクコーヒーで)を飲んで育ってきました。

父はネルフィルタ‐も使っていましたが、不精な私は抽出後の手入れが面倒で、専らペーパーフィルター派です。フランネル、つまり毛織物の布でできているネルフィルタ‐を使うと、コーヒー豆の粒子が毛の間に留まって残るので、出来上がったコーヒーの味がまろやかになると言います。

でも、コーヒーの粉末がからみついたネルフィルターを1回1回洗うのは、なかなかに面倒です。さらには煮沸して、水につけておくのがネルフィルターの正しい保管方法と聞きました。

はい、家では紙フィルターで十分、その替わり、時々は贅沢をして、プロの淹れた美味しいコーヒーを堪能させてもらうことにしたいと思います。

という事で、更にワクワクしながらコーヒーを待ちます。

飲食業界、レストランや居酒屋さんでは、ファーストドリンクや始めの1品はなるべく早く提供する様に心がけているそうです。目安としては、始めの1杯は3分以内、始めの1皿は10分以内だとか。

トリコロールさんのファーストドリンクは、かなりゆっくりです。
でも、そんな事は全く気にならない自分がいます。けっこう待っている気はするのですが、時計を見ていない、いえ、見る気もおこらないので、何分待っているのか分りません。

でも、素敵なインテリアや飾られたコーヒーカップを眺めたり、隣の席のマダム達がまだID交換が成功せず、それでものんびりと携帯電話を片手にあれこれ相談している様子を盗み見たり、そこに座って待っている時間が居心地が良くてたまらないのです。

と、つにコーヒーが登場しました。


銀座トリコロールで注文したアンティークブレンドコーヒー

銀座トリコロールで注文したアンティークブレンドコーヒー

目の前で、カップに銀色のポットから優雅にコーヒーを注いでくれます。いい香り。それでは頂きます。

アンティーク・ブレンドコーヒー、渋いのにえぐみが感じられずまろやか、酸味と苦みが丁度良いバランスを持っています。焙煎も中くらい、やや浅めでしょうか?甘味やフルーティーさはなく、正統派で優しい味。

まさに“珈琲”です。


銀座トリコロールで注文したコーヒーゼリー

銀座トリコロールで注文したコーヒーゼリー
そしてコーヒーゼリーもテーブルに並びました。「甘味はついておりませんので、お好みでシロップをお使い下さい」、とのこと。先ずは何もつけずに一口パクリ。

あっ。本当に珈琲の香りをそのまま写しとった様な味です。しかも濃いめ。つまり、やはりブレンドコーヒーと重複してしまっています、風味が・・・。

ゼリーの上にクリームが載っているのですが、こちらも無糖。自分の好みの甘さに調節できますので、甘いものが苦手な珈琲好きの人でも満足できる一品だと思いました。

でも、ブレンドコーヒーと一緒に注文するのはあまりお薦めしません。
そもそもあまり居ませんかね、そんなもの好きは。

ゆっくりとコーヒーを味わいながら、気が付くとぼーっと呆けていました。駅前のカフェチェーン店などを利用する時には、コーヒーカップを脇によけて、書き物をしたり、ネットで調べ物をしたり、本を読んだり、スマホのゲームを進めたりと、とにかく常に何かに忙しくして過ごしているのですが、銀座トリコロールのこの空間では、ただただ、ここに居るのが心地よくて、スマートフォンをバッグから取り出そうという気にもなりません。

ふと思い出したのは、ドイツやウィーンの古い街の中にあった幾つかの古いカフェです。やはりお客達は、楽しそうに、でも節度をもっておしゃべりに興じたり、店に置いてある新聞に目を通したりと優雅にその空間と時間を満喫していて、私のテーブルにもドリンクとスイーツがあり、一口コーヒーを啜っては、それぞれの趣向で素晴らしく凝った店内のインテリアを眺めて、気が向けば窓の外に目を向けたり、隣の席の会話を聞いてみたりしてみる。

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あの幸せな時間の浪費は、あのカフェが提供してくれた、不思議に居心地が良い空間がなければ体験できなかったものの様な気がします。そして、それと同様の、論理的には理由の解明が難しい、困ってしまうほどの居心地の良さを、このトリコロールの2階のテーブル席でも感じるのです。

ようやくLineで繋がったマダム達は、笑顔で階段を降りて行きました。新しくお客が入った時に、オーダーと配膳のために店員さんが2階にやって来ましたが、それきり姿を見せません。

相変わらず腕時計を見ていませんし、この部屋はどうやら主観的な時間の経過が外の世界とは異なる様で、どれだけ長くここに居るのかもあやふやです。

まだまだこの場所でこうしていたい、という気持ちが強いのですが、外はどんどんと暗くなっていきます。また来よう(そして次回はせめてエクレアにしよう)、そう思って席を離れました。

最後に、2階のお手洗いの中までが、どっしりとしたチェアーとキャビネットが備えられた贅沢なつくりになっていて驚いたことと、1階の店員の皆さんが大変フレンドリーで、コーヒーカウンターの撮影を快く許可してくれたことも書き加えておきたいと思います。

トイレ

お店は無休、朝の8時から夜の8時半まで(土・日・祝日は9時まで)の営業です。

銀座トリコロール、高級な内装や家具で飾っただけのお店ではありません。美味しいコーヒーを淹れてくれるだけでもありません。寛げる空気の中で、優雅に時間の無駄をさせてくれる。ヨーロッパのカフェ文化から続く、カフェ店の素敵な役割の1つを思い出させてくれるお店です。


銀座トリコロール 基本情報

店名:銀座トリコロール本店
WEBサイト:http://www.tricolore.co.jp/ginza_trico
電話:03-3571-1811
住所:〒104-0061
東京都中央区銀座5-9-17
営業時間:
平日 8:00~20:30 ※ラストオーダー20:00
土日祝 8:00~21:30 ※ラストオーダー21:00

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